「TPP亡国論」(中島剛志)を読んで

いつもの飲み屋で聞いた酔っ払い二人の会話:

おじさんA: このところ韓流の歴史もんのTV番組をよう観てて本を読む機会 が少のうなってたけど、やはり、たまには読まないかんな。
おじさんB: そんなに韓流のTVばっかり見てるんかいな。
おじさんA: 嫁さんが嵌まってるんで横で一緒に見る機会が多なっただけや。 「高句麗、三足烏、三韓一統」とかという言葉も覚えたで。
おじさんB: そりゃ良かったね。朝鮮のことに少しは詳しくなったんや。
おじさんA: それで朝鮮人の性格がよう分かった。まず彼らはホントに涙もろい。男も女も何かというと泣く。日本人なら感情をあまり表に出すのは、はしたないと考えるけど、彼らは違うようや。
それと大事な話はいつも外で立ち話でやる。だから恋敵や政敵なんぞが物陰から盗み聞き覗き見してて話がややこしくなる。
おじさんB: そりゃ物語やからね。脚本の都合でそうしてるだけやろ。
おじさんA: それにいつも今度はあいつに毒を飲ませよう、次の日は腹違いの弟に刺客を差し向けて殺そうと言うて、人を殺す話ばかりしてる美人の王妃や女官の怖い連中ばかりや。こてこてのドロドロの物語になるなあ。 そのドロドロ感が日本人にも受けてるのかね。
おじさんB: 権力が絡むと王族同士でも親子、兄弟、おじおば親類同士で熾烈な殺し合いになるからな。 日本も戦国時代は日常的なことやったやろ。 ところでそのドロドロの韓流TVドラマの話は別として、どんな本を読んだんや。

おじさんA: 世の中、あんまりTPPて騒いでるから少しは勉強せないかんかなと思うて「TPP亡国論」(中島剛志・集英社新書)を読んでみた。 なかなかいい事書いてあるよ。
おじさんB: どこが良かったんや。
おじさんA: 第二章の「世界の構造変化を読む」でここ30年ぐらいに急激に進んできた金融のグローバライゼーションや通貨危機やリーマンショックの金融危機の構造なんぞの説明がコンパクトに説明してあってワシら素人にもわかりやすい。
第三章では「貿易の意味を問い直す」といって国際収支と経済成長の関係やデフレ問題も要領よく説明してあって役に立つわ。ワシみたいに頭の単純な人間には分厚い経済専門書なんぞ嫌やから、新書は薄くて読むのに助かる。

おじさんB: だけど、その本の著者の中島の主張はなんや。

おじさんA: 日本は真に自立した国家戦略をもっていない国やから、失業問題で悩み経済立て直しの為に貿易輸出をなんとしても倍増させたいと必死になっているアメリカにいいようにされる。TPPはそんなアメリカの陰謀手段やから迂闊に乗るなよ、というこっちゃ。
おじさんB: なんかじじ臭い忠告の本やな。

おじさんA: ワシが思うに、あいつは「隠れキリシタン」ならぬ「隠れインフレ・ターゲット論者」やで。 デフレ脱却がなにより大事と言ってるんや。 まあ、わしにもそう思えるようになってきた。
おじさんB: インフレ論者はそんなに悪い奴なのかい。
おじさんA: 10年ほど前、いくら日銀が金融緩和をやっても景気がよくならんで流動性の罠という言葉がはやってポール・クルーグマン(アメリカの経済学者)が調整インフレ政策を提言した時があったけど、皆から袋叩きに会っていたのを思い出した。インフレは消費者、特に年金生活者にとっては大敵やからな。
おじさんB: あれから10年たって結局20年間、日本経済は停滞したままで国の借金だけが大幅増の成長(?)になった訳やな。
おじさんA: そういうこと。 この本のいいのはデフレの問題点とかややこしい話を一般人にわかりやすく書いてあることや。
おじさんB: それで、あんたもTPP反対論者になったわけか。
おじさんA: そういう訳でもないで。TPPが日本を亡国にするというタイトルがおかしい。間違ってる。
おじさんB: なんでや。

おじさんA: TPPが日本を滅ぼすんじゃなくて、既に日本は亡国になっているんや。 いまさらTPPを怖がっていてもしょうがない。滅んでいるんやからあとは再生・復活あるのみ。 アメリカの言うことに一々、ビクビク・オドオドしててもしょうがない! 最初から気合い負けしてるんじゃ勝負にならん。我に秘策あり。
おじさんB: ウ~ン。そう来たか。逆転の発想やな。 だけど何やその秘策ちゅうのは?

おじさんA: 今日はもう飲み過ぎたからここらで切り上げて、また来週に飲もう。この続きはそこで。
おじさんB: 期待したいけど、果たしてそんな策などあるんやろか?

ふたりの酔っぱらいは、いつもの様に覚束ない足取りで帰宅の途につくのであった。

(2011年11月 記)


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